妊娠出産をきっかけに、子供に関する手当金や税金、社会保険について気になる方も多いはず。そんな中で、共働きのご夫婦に多いのが「子供の扶養はどうする?」問題です。
会社員ママ
そこで、子供の扶養はどうするのがお得なのか、収入がいくらまでなら控除が受けられるのか、など詳しく見ていきましょう。
共働き夫婦は子供をどちらの扶養に入れるのが得?
まず、最初にお伝えしておきたいのが、扶養には2種類あるということ。
ひとつが所得税や住民税などの「税金の扶養」。もうひとつが「健康保険の扶養」です。
それぞれ別の仕組みになっていて、子供を扶養に入れる申請も別々に行います。どちらも子供を扶養家族として取り扱うという点に変わりはありませんが、受けられる控除や給付が変わってきます。
共働き夫婦の子供の扶養~税金(所得税)~
「税金の扶養」では、扶養控除の条件にあてはまると税金が安くなります。
よほどのことが無い限り所得が高い方の扶養にしたほうが、軽減される税金が多くなります。
しかし、所得税の子どもの扶養控除は16歳以上が対象です。そのため、子供が15歳になるまではどちらの扶養にしていても特に影響はないんです。
パパもママも会社員なら、年末調整の時期に「給与所得者の扶養控除等申告書」を記入して会社に提出するはずです。パパママどちらかが、書類に子供の名前を書くことで扶養家族とすることができます。
【税金の扶養】子供が16歳以上になったときに、「収入の高い方」の扶養家族でいるほうがお得
共働き夫婦の子供の扶養~税金(住民税)~
パートで働くママの場合、15歳以下の子供をママの扶養に入れると住民税がかからないことがあります。
住民税は、所得税にはない非課税制度という仕組みがあります。これは、収入が一定の金額に満たない人の税金が免除される仕組みです。
非課税になるママの収入は、お住いの地域、子供の人数によって違います。大体、年収130万~200万ほどの金額が目安です。
例えば、上限金額が高く設定されている東京都23区の場合だと、住民税が非課税になる年収の上限金額は子供1人なら156万円、子供2人なら206万円となっています。
所得税が関係してこない15歳までは、子供をママの扶養家族という扱いにしてみようかな?という方は、一度お住いの自治体に相談してみるといいでしょう。住民税が非課税になる収入を教えてもらえますよ。
お住いの地域によっては、子供の扶養が児童手当の所得制限に影響することがあり、収入が高いほうの扶養に入れるよう指定される場合もあります。
共働き夫婦の子供の扶養~健康保険(社会保険)~
「健康保険の扶養」では、加入する健康保険によって給付の内容が変わってきます。
パパとママが会社員の場合、子供の健康保険証はどちらかの組合・団体から発行してもらうことになります。健康保険については、基本的には収入の高い方の扶養に入れることになっています。
会社や健康保険の団体によっては、子供を扶養にいれるのを世帯主や父親にするよう推奨しているところもあるようなので、一度確認するのがいいかもしれません。
もし、どちらの扶養にしても問題がなく、夫婦で同じくらいの収入があるようなケースでは、健康保険の給付やサポートが手厚い方の扶養家族にするとお得なことがあります。
どちらの健康保険の給付が手厚いのか、は大企業かどうかで違いがあります。
大企業の「健康保険組合」には、医療費の家計負担を重くしすぎないための独自ルールがあったりするんです。高額療養費の給付が手厚かったり、入院時の差額ベッド代の補助がでたり、予防接種に補助がでるところも。
一方、中小企業が加入する「全国保険協会・協会けんぽ」の給付は、国民健康保険と同じく一律となっているので基本的な違いはありません。
子供の健康保険加入は、勤務先で手続きを行います。出産してなるべく早いタイミングで申請するようにしてくださいね。
【健康保険の扶養】「収入の高い方」が基本。
夫婦で同じくらいの収入なら、給付が手厚いほうを選ぶ。
税金の扶養と健康保険の扶養は違ってもいいの?
税金の扶養と健康保険の扶養はそれぞれ別のものです。
そのため、税金の扶養はママ、健康保険の扶養はパパ、といったふうに分けることもできます。
国民健康保険より社会保険が断然お得!
共働き夫婦の中には、夫が自営業で、妻が会社員というケースもあるでしょう。
パパが加入している国民健康保険には「扶養」という仕組み自体がありません。そのため、子供も国民健康保険に加入させ、1人分の保険料を支払う必要が出てきます。
一方、社会保険(会社の健康保険)の扶養に入れれば、保険料の支払いは1人分(ママの分)だけでOKです。
国民健康保険と社会保険のどちらかにするなら、子供は社会保険の扶養に入れたほうが断然お得です。
共働き夫婦の子供の扶養~家族手当~
これは会社によりますが、福利厚生の一環で、扶養家族の人数によってお給料とは別に手当をもらえることがあります。いわゆる家族手当です。
金額は会社によって様々ですが、子供一人当たり5,000円前後というのが一般的で、毎月のお給料にプラスされることになります。年間で見れば6万円ほどになるので、あなどれない金額です。
この家族手当をもらえるのは、健康保険で子供を扶養にした人や世帯主、というルールになっている会社がほとんど。
家族手当はもらえるのか、もらうための条件はなにかを勤務先で確認してみてくださいね。
共働き夫婦の子供の扶養 まとめ
- 所得税の扶養 → 収入の高いほうがトク
- 住民税の扶養 → パート主婦なら非課税の可能性あり
- 健康保険 → 収入の高いほうor給付が手厚いほう
- 家族手当 → あるなしを確認。健康保険と合わせる
共働きの夫婦は、それぞれが税金を納めていたり、社会保険に加入しているので、子供ができたときの「扶養」の定義が難しいと思います。
ほとんどの場合は、子供は収入の多いほうの扶養家族にする、と考えていただければいいはず。
それでも、どうすればいいか迷ってしまう人は、税金についてはお住いの自治体へ、健康保険は勤務先の担当部署へ、相談してみてくださいね。