こんにちは。ファイナンシャルプランナーの ことり です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、政府は、2020年4月7日に国民への現金30万円の一律給付を決定しました。 仮称を「生活支援臨時給付金」といいます。
30万円というインパクトのある金額から、喜ぶ声も多かったんですが…。
対象となる人の基準が複雑怪奇すぎて、誰がもらえるのか分からない!!!
って声が噴出!そこで、現金30万円をもらえるのはどんな人か?あなたは対象になるのか?申請方法はどうなっているのか?についてまとめました。
※2020年4月10日時点の情報をもとに記事を作成しています。
現金30万円給付が決定したけれど…
今回、30万円の現金給付を行う目的について、国は以下のように説明しています。
- 新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、生活に困っている世帯の生活維持のため
- 迅速・手厚い・思い切った支援を行うため
外出自粛要請や休業要請を受けて、日々の収入が極端に減った人も多いはず。そんな人たちの生活を助けるための臨時給付金となっています。
ただ、制度では『一律30万円の現金支給』とされているんですが、これは金額のことであって、対象者の基準はけっこう厳しめです。
むしろ、もらえない人のほうが多いかも。そんな給付対象の3つのポイントについて、かみ砕いてお伝えします。
ポイント①世帯主の収入で判断
収入が減少した世帯が対象となっていますが、判断基準となるのは『世帯主の収入』です。
そのため、例えば共働き家庭で、世帯主ではない妻の収入がゼロになっていたとしても、夫の収入が減っていなければ、今回の給付金の対象にはならないんです。
共働きって、2人分のお給料で家計をやりくりしているじゃないですか。それなのに、世帯主の収入しか見てもらえないっていうのはちょっとなぁと思います。
また、何人家族であったとしても、支給される金額は1世帯あたり一律30万円となっています。
ポイント②収入の減少基準
どれくらい収入が減ったら、30万円もらえるの?という点ですが、まずは複雑怪奇と言われた原文を見てみてください↓
世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が、
①新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと住民税非課税水準となる低所得世帯
②新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと住民税非課税水準の2倍以下となる世帯
等を対象とする。
分かりにくすぎません????
これを、もう少しかみ砕いて、分かりやすい言葉に置き換えるとこんな感じになります↓
- 世帯主の2月~6月の間の一番低い月収に
- 12を掛けて、年収ベースにしたときに、
- 条件① 住民税非課税水準の年収まで少なくなった人
- 条件② 月収が半分以下になっていて、かつ、住民税非課税水準を2倍した金額より少なくなった人
と、こんな感じになります。
で、ここまでかみ砕いても「住民税非課税水準」がいくらなのか分からないため、結局、自分が対象なのかどうか判断できませんよね。
ということで、住民税非課税水準の具体的な金額をお伝えします。
2月~6月の収入を、いつの収入と比べればいいの?という疑問ですが、原則、昨年の年収と比べることになりそうです。内容が決まり次第、総務省から発表されるそうなので、詳細を待ちましょう。
ポイント③住民税非課税水準
そもそも住民税非課税水準というのは、いわゆる『低所得世帯』と呼ばれる水準です。
生活に困るくらいお給料が少ない人は、税金(住民税)を免除しますよ~という基準なんですね。
で、この住民税非課税水準というのは、お住いの市区町村や家族構成によって違ってくるので、一概に「この金額です!」と言えなくて、制度をより分かりにくくしてしまっています。
イメージをもってもらうためにも、東京都23区の非課税水準をもとに具体的な金額をご紹介します。
条件①を満たすための収入は?
▼2人家族、夫は会社員、妻は専業主婦(扶養家族が1人)
→非課税水準は、年収156万円以下(月収13万円くらい)
▼3人家族、夫は会社員、妻は専業主婦、子供1人(扶養家族が2人)
→非課税水準は、年収205万円以下(月収17万円くらい)
▼4人家族、夫は会社員、妻は専業主婦、子供2人(扶養家族が3人)
→非課税水準は、年収255万円以下(月収21万円くらい)
▼単身世帯(独身の方もしくは共働き夫婦)
→非課税水準は、年収100万円以下(月収8万円くらい)
収入がどれくらい減っていればいいか、という点で見ると、条件①を満たすためには、これくらいの収入まで減少していなければ支給対象にはなりません。
条件②を満たすための収入は?
また、条件①に比べてももう少し対象者を広げる狙いがあるのが条件②です。
条件②を満たすためには、月収が半分になっているという前提で、かつ、住民税非課税水準×2倍した金額を下回っている必要があります。
例えば、東京都23区の3人家族なら…
▼年収800万円だったのが400万円に減ってしまった
→年収が半分以下になっている、かつ、3人家族の非課税水準206万円×2=412万円を下回っているので支給対象になる。
▼年収600万円だったのが400万円に減ってしまった
→そもそも年収が半分以下に減っていないため、支給対象にならない。
と、このように収入が400万円に減った人でも、支給対象になる人とならない人が出てくるんです。
しかも、ここまでご紹介した具体的な金額はあくまで東京都23区の話。あなたのお住いの地域の水準はいくらなのか?は、自分自身で調べないといけないんです。そんなの無理ですよ…
みなし条件:収入の基準額
あまりにも分かりにくい基準で、各自治体の事務負担が増えると批判を受け、2020年4月10日、あらたに簡便化されたみなし基準が発表されました。
具体的には、世帯主の2月~6月で一番低い月収が、以下の金額まで下がっていれば支給対象になります。
- 単身世帯…10万円
- 扶養家族が1人(2人暮らしなど)…15万円
- 扶養家族が2人(3人家族など)…20万円
- 扶養家族が3人(4人家族など)…25万円
- 扶養家族の4人目以降は、基準額を1人当たり5万円を足す
上記の金額が、住民税非課税水準とみなされます。
全国で一律の金額に統一することで、より分かりやすい制度になるように配慮されました。
なお、条件②を満たすためには、月収が半分以下に減少していて、かつ、みなし基準×2の金額まで月収が減っていることが条件です。
給付金の申請方法
現金30万円をもらう方法は、自己申告制となっています。
自分で条件に当てはまるかどうかをチェックしたうえで、申請手続きをしなければいけないんです。(優しくないですよね…)
制度概要が発表されたばかりで、具体的な申請方法についてはこれから、ということのようですが、現時点で分かっている内容をまとめておきます。
申請方法
新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、郵送での手続きが基本となります。
窓口となる区役所や市役所に人が押しかけてしまっては、意味がありませんからね…
また、インターネットを使ったオンライン申請も検討中とのことです。こちらは、手続きにマイナンバーカードが必要になりそうという噂もありますが、どうなることやら…。
必要なもの
- 収入状況を証明する書類
- 本人確認書類
具体的には、給与明細や雇い主からの証明書、帳簿の一部の写しなどで収入状況が確認できるものを提出する必要があります。
また、より簡便に収入状況を確認する方法についても検討中とのことです。
支給方法
給付金30万円については、原則として、本人名義(世帯主名義)の銀行口座への振り込みになります。
支給時期
現在、迅速に支給できるように検討中とのこと。
国としては、早ければ5月中の支給開始を目指しているそうです。
まとめ
全国一律のみなし基準ができたため、現金30万円の給付制度が発表された当初よりは、まだマシな分かりやすい内容になったかと思います。
今回は、生活に困っている人を助けるための現金給付ということで、
・公務員
・大企業の勤務者
・生活保護者
・年金のみで生活している人
このような人たちは、原則として対象外の想定です。
それに、個人事業主やフリーランスの人は収入(今回の制度では「所得」のこと)の計算が難しいので、より申請に頭を悩ませることになりそうです。
(しかも、フリーランスは上限100万円の給付が受けられる可能性もあります)
どちらにせよ、現金を給付すると決まったのであれば、対象となる人たちがしっかり理解できるように今後分かりやすく広報してもらえればなと思います。
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