個人事業主にとって大事件発生です!
なんと来年から青色申告特別控除が65万円から55万円に減額されてしまうというんです。なんてこったー!
調べてみると、e-Taxで申告(電子申告)したり電子帳簿の保存ができていれば、引き続き65万円の控除が受けられるらしいです。が、e-Taxには何かと準備が必要みたいだし、電子帳簿って言っても単純に会計ソフトを使ってればOKという話ではなく、色々手続きが必要みたい…。
ことり
そこで、今回の改正後も65万円の青色申告特別控除を受け続けるための要件をチェックしました。電子帳簿保存の定義についても具体的に調べています。
私のようにフリーランスで働く人だけでなく、副業ブロガー、アフィリエイト収入がある方、イラストレーター、ライター、プログラマーなどなど個人事業主として開業届を提出している方はチェックしておきましょう!
青色申告特別控除額が改正されます
まずは今回の税制改正のポイントから!
- 改正は2020年度の確定申告から(2021年提出分から)
- 青色申告特別控除額が65万円から55万円に減額される
- 同時に、基礎控除額が38万円から48万円に拡大する(ただし所得制限あり)
- 要件を満たせば65万円の控除を受け続けることができる
今回の税制改正では、令和2年(2020年分)の所得税確定申告から、青色申告特別控除額が変更されることになりました。これまで65万円だった控除額が、原則55万円へ引き下げられます。
合わせて、すべての人が対象の基礎控除額が38万円から48万円に拡大されています。
ことり
基礎控除額が増えてくれるのは嬉しいニュースです!
ですが、フリーランス的には「そんなこといっても青色申告の控除が減ってるじゃないか!」って話じゃないですか?できることなら65万円の控除を受け続けたい!いや、絶対受けたい!
そんなあなた(と私)のために、必ず65万円の控除を受けられる方法をまとめておきます。
ちなみに、青色申告をしている人の中には、65万円ではなく10万円の控除対象の方がいます。この方は、特に変更なくこれまでと同様10万円の控除になります。
今回の改正で、基礎控除額は一律38万円という制度から、『48万円からの所得制限付き』という制度に変更されます。2,400万円を超える高所得者になると控除額が制限されます。
65万円の青色申告特別控除を受けるための要件
これまでの65万円の青色申告特別控除を受けるための要件は、以下の4つでした。
- 事業所得がある(または事業的規模の不動産所得がある)
- 正規の簿記の原則で帳簿をつける(複式簿記)
- 確定申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付する
- 期限内に申告する
これに加え、令和2年分(2020年分)の確定申告からは、
- e-Taxによる申告(電子申告)
- 電子帳簿保存
のどちらかが必要になってきます。
それぞれの方法について、詳しく紹介しますね。
e-Taxによる申告(電子申告)とは
e-Taxとは、インターネットで確定申告の手続きが行えるシステムのことです。
書類を印刷したり、窓口に提出に行ったりという手間が省略でき、スムーズに確定申告を完了させることができます。
一方で、e-Taxを利用するためには、税務署でIDパスワードを発行してもらったり、マイナンバーカードを取得する必要があったり、自宅にICカードリーダーライターを購入しなければいけなかったりと、利用するための手続きがめんどくさいんですよね。
そのため、「e-Taxはハードルが高い」「手続きが難しい」「準備物がいるから」といった理由で、利用している人はまだまだ少ない状況でした。
そんな状況を改善し、より多くの人にe-Taxを使ってもらうために、今回の控除の要件にされたんだろうなと思われます。
▼e-Taxにチャレンジしたい方には、分かりやすい解説をご用意しました♪
2019年1月から、e-Taxには「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つの方法が選べるようになっています。
そのうち、「ID・パスワード方式」ならICカードリーダーライターは不要です。これまでと比べ手続きが簡略化され、少しは使いやすい制度になっているんですよ。
電子帳簿保存とは
電子帳簿保存とは、とある要件の下で帳簿などを電子データのままで保存できる制度のことです。
簡単にいえば帳簿の作成を一貫してパソコンで行い、そのままデータで保存することを言います。(ただし、紙で作った帳簿をスキャナで読み取ってPDFデータで保存する、とかはNGです。)
個人事業主の人
それが…この制度の適用を受けるためには、かなりハードルが高そうです。
電磁的記録による帳簿保存って呼んだりもするんですが、「電子帳簿保存法」という法律で厳格な要件が定められています。
電子帳簿保存の制度が適用されるためには、事前に税務署へ申請書を提出する必要があります。それに、そもそも電子帳簿保存法に対応している会計ソフトが少ないんです。
ことり
もう少し詳しく見ていきましょう。
電子帳簿保存の申請書とは
65万円の青色申告特別控除を受けるために「電子帳簿をちゃんと保存してますよ!」って証明するためには、事前に申請書を出して、税務署長の承認を受けなきゃいけません。
これは、個人事業主が提出済みである「所得税の青色申告承認申請書」とは別の書類です。
具体的には、以下のリンク先の書類を提出することになるそうです。けっこうめんどくさそう…。
参考
国税庁HP「[手続名]国税関係書類の電磁的記録等による保存の承認申請」
申請書はいつまでに提出すればよいのか
改正後の2020年(令和2年)度の確定申告から「電子帳簿保存で65万円の青色控除を受けたい」場合に必要な対応は以下のとおりです。
- 2020年9月29日までに承認申請書を税務署へ提出する
- 2020年中に承認される
- 2020年分の事業にかかる帳簿を「電子帳簿保存法」に基づき作成・保存する
- 65万円の青色申告特別控除を受けることができる
この要件がクリアできていれば、確定申告書の提出方法は窓口への提出でも郵送でもかまいません。
つまり、改正すぐの2020年がはじまったタイミングでは承認を受けていなくてもいいけど、9月中には承認を受けておいてね。そして、12月までには体制を整えておいてねってことみたいです。
電子帳簿の対象となるのは?
この制度の対象になっている帳簿は以下の2点です。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
この2点が、正しく電子保存されていれば、65万円の青色申告特別控除の対象になります。
現金出納帳や固定資産台帳、売上帳、仕入帳などは電子保存されてなくてもOKみたいですよ。
ってことは、会計ソフトを使って帳簿を付けていれば大丈夫なのかな?と思って「(会計ソフト名) 電子帳簿保存法 対応」でチェックしてみましたが、適応要件が厳しいらしく対応していない会計ソフトがあることが分かりました。
会計ソフト3社の対応状況
個人事業主の人
そこで、個人事業主の方の利用率が高い、会計ソフト3社の対応状況を調べてみました。
やよいの青色申告
e-Taxについて、マイナンバー方式に対応しています。
電子帳簿保存法にも対応しているようですが、事前の設定が必要です。また、グレードによっては機能が搭載されていないこともあるようです。
MFクラウド確定申告
同じく、e-Taxではマイナンバーカード方式に対応しています。
なお、電子帳簿保存法への対応は現在準備中とのこと。
freee
e-Taxについて、freeeの電子申告アプリを利用することで、確定申告の内容をオンラインで提出することが可能。
会計freeeの電子帳簿保存機能は、取引関係書類のスキャナ保存にのみ対応しており、帳簿の電子保存は未対応とのこと。
税制改正される来年までにはもう少し整備されると思いますが、e-Taxでの電子申告に比べ、電子帳簿保存のほうがハードルが高いかもしれません。
まとめ
ことり
この事実を知ったとき、一瞬ドキッとしましたが、ちゃんと準備や手続きをすれば、これまでどおり65万円の青色申告控除が受けられるようで安心しました。ちょっとめんどくさいですけどね。
個人的な見解ですが、電子申告(e-Tax)が浸透しないからこんなことになったんだろうな~と思います。
電子帳簿保存について、法律をいろいろチェックしましたが、なかなかややこしい部分もあったり、「導入する場合には必ず税理士にご相談ください」という文言を見かけたり…。何の知識もなく対応するのは難しそうな印象。
e-Taxの方法も少しは簡単になったっぽいし、控除額以外にも何かとメリットがありそうなので、これを機に電子申告にチャレンジしてみるのもありだな~と思います。
まだ時間はありますので、どう対応するか検討してみてくださいね。
▼e-Taxを始めたい方はこちらで手順をチェックしてみましょう♪